時代に咲いた花 2020.08

ハリエット・タブマン(下)

南北戦争では北軍に同行、戦地で多くの黒人を救出
戦後は黒人差別の解消や女性の参政権運動に活躍した

 ハリエット・タブマンが潜伏したペンシルベニア州フィラデルフィアは、奴隷制廃止運動の中心地でした。奴隷制に反対するクエーカー教徒が多く住み、アメリカ奴隷制反対協会の本部もあり、逃亡奴隷を援助し、新生活に向けた福祉や情報を提供していました。
 同協会の黒人職員ウィリアム・スティルを通して奴隷制廃止運動に接するようになったハリエットは、白人富豪トマス・ギャレットをはじめ、奴隷制廃止運動の著名な活動家たちと知り合い、彼らの支援のもと、南部の奴隷を救出する秘密組織「地下鉄道」に携わるようになります。
 作戦を成功させるには、準備が何より大事です。情報収集と伝達、移動費に協力者への謝礼など、資金の確保も重要で、支援者からの寄付が不可欠でした。ハリエットはときに支援者の家に押しかけ、寄付してもらうまで居座るなど、多少強引な手段も厭わなかったといいます。
 北部メリーランド州の情勢や家族の様子は、港で働く自由黒人のネットワークを通して知りました。家庭やホテルで家政婦、料理人として働きながら、救出のタイミングを慎重に見計らいます。
 奴隷制を巡る南北の攻防は激しさを増し、1850年に逃亡奴隷法が成立すると、自由州に逃れた奴隷の所有者への返還と、北部の公的機関の協力が義務付けられ、捕獲を恐れた逃亡奴隷は英国領カナダへ移動するようになりました。

※続きは2020年08月号本誌にて。
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