時代に咲いた花 2018.06

エリザベス・ブラックウェル(下)

外科医の道を絶たれるも新たな使命に目覚め
女医育成の病院を開き女性の生き方を開拓した

 世界初の女性医師となったエリザベス・ブラックウェル。外科を学ぶため、医学の先進地だったパリに渡った彼女に、またしても女性蔑視の壁が立ちはだかります。
 アメリカで苦労して手にした医師免許は、パリでは紙切れ同然で、やっと見つけたラ・マテルニテ産科病院の仕事も助産師見習いでした。下働きの重労働に耐えながら、男性医師が病床を回る後に付いて一語一語に聞き耳を立て、診察の様子を盗み見る毎日。それでもチャンスの到来を信じて忍耐強く働き続けました。
 やがて“医師のように”的確なエリザベスの仕事ぶりがワクチン担当医イポルト・ブローの目に留まり、信頼を得るようになります。ブローの診察に同行してワクチン接種を任されたり、手術の見学をしたりしながら知識と経験を深め、1年後には「女であろうと、アメリカ一の産科医になるだろう」とのお墨付きを得るまでになりました。
 ところが、外科医の夢は不意に絶たれます。ある日、眼病にかかった乳児の目を洗浄中、飛沫がエリザベスの目に触れて感染し、左目を失明したのです。メスを握る外科医にとって致命的で、外科の道を諦めることを意味していました。
 しかし、これは真の使命に向かうための試練だったのかもしれません。1850年、傷心を抱えてイギリスに渡った彼女は母国に温かく迎えられ、ロンドンの聖バーソロミュー病院にインターンとして受け入れられたのです。
 著名な学者たちとも交際し、交友範囲は大きく広がりました。中でもフローレンス・ナイチンゲールとは初対面で親しくなります。上流階級に属しながら、貧しい人々に奉仕するため、当時は蔑まれていた看護婦になったナイチンゲールは、このとき31歳。後にクリミア戦争で活躍し、「近代看護の母」として名を馳せるようになる彼女とは、人生や仕事について語り合い、生涯にわたる親交を結びます。

※続きは2018年6月号本誌にて。
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