時代に咲いた花 2017.11

相馬黒光(上)

本郷でパン屋の中村屋を創業した女性実業家
若き日に作家を志し、念願の明治女学校で学んだ

 「アンビシャス・ガール」──人はそう彼女を呼びました。激動の明治、大正、昭和を颯爽と闊歩した相馬黒光(そうまこっこう)は、大きな志の人でした。夫婦で老舗・中村屋を創業、次々に独創的な商品を生み出し、大成功を収めます。さらに文学、芸術をこよなく愛し、「中村屋サロン」の女主人として文化人らに慕われました。
 相馬黒光(旧姓星良・ほしりょう)は明治8(1875)年9月11日、宮城県仙台市北四番町に生まれました。星家は仙台藩の士族の家でしたが、戊辰戦争で藩が敗れ没落。4男4女の子沢山ながらも入婿の父は頼りなく、ほとんど世捨て人同然でした。母が畑仕事や機織りで得られる手間賃はわずかで、暮らしは悪化の一途をたどり、家財道具から庭の木までも人手に渡っていきました。
 そのなかでも良は活発な少女に成長し、木登りをしたり芝居小屋をのぞいたり、武家の娘らしからぬ自由奔放な幼少時代を過ごしました。尋常小学校初等科を終えると、高等科に進むことを願いましたが、優秀だった兄でさえも13歳から働いているのに、「まして女(おなご)は」と許されず、しぶしぶ裁縫学校に通います。しかし、裁縫に身が入るはずもなく、見かねた母は1年遅れで進学を認めてくれました。

※続きは2017年11月号本誌にて。
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