時代に咲いた花 2015.6

美空ひばり(中)

12歳で大スターになったひばり
マスコミの激しいバッシングにもくじけず
歌に舞台、映画で次々に大ヒットを生み出す

激しいバッシングにも
母とファンに支えられ

 『悲しき口笛』の大ヒットで12歳にしてスターの座を手にした美空ひばり(本名・加藤和枝)。一方で、激しいバッシングにさらされました。日本の流行歌を下世話なものと見る知識人が多く、ジャーナリストから嫌われました。
 「タイハイした大人の猿真似」「大年増の歌手のようなしわがれた声」――『婦人朝日』は「児童と福祉」という特集を組み、夜の営業に疲れてマネージャーにおぶわれて眠るひばりの写真を掲げ、児童福祉法を持ち出して批判しました。詩人サトウハチローにいたっては、『東京タイムズ』のコラムの中で、最近巷を賑わせている「ブギウギこども」について、「怪物、バケモノ」「やらせている親のことを思うと寒気がする」と酷評し、ひばりの母・喜美枝を憤慨させました。それでも喜美枝は切り抜いた記事を娘のお守り袋に納め、「苦しいときはこれを読んで気持ちを駆り立てましょう」と、闘志を燃やしたというから負けていません。
 心無い言葉に傷つくこともありましたが、それでも歌い続けられたのは、母と大勢のファンがいたからでした。「私のファンはタキシードなんて着てこない」と語っているように、彼女の真価を見抜いていたのは、名もなき庶民たちだったのです。

補習授業で小学校を卒業
13歳で既にプロの芸術家

 しかし、仕事が増えたことである問題が浮上します。在籍していた滝頭小学校から、このままでは卒業できないと宣告されたのです。映画の撮影や地方公演などで多忙のひばりはほとんど登校できず、マネージャーがいくら交渉しても、「一人の子のために特例を作ることはできない」と校長は頑として認めません。京都で松竹の『放浪の歌姫』の撮影中だったひばりは、それを聞いて泣き出す始末。最終的には、卒業後に1週間の補習授業を受け、その成績次第で判断するという条件で仮の卒業証書が与えられました。ひばりの教育問題が世間で取り沙汰されていただけに、試験で優秀な成績を修めたときは、喜びもひとしおでした。・・・

※続きは6月号にて。

readlink

関連記事

カテゴリー

ページ上部へ戻る