友好の橋 2018.05

ドイツ連邦共和国
Republic of Germany

世界に先駆け全身麻酔の手術を成功させた華岡青洲
江戸時代、ドイツ人医師による外科術が日本の主流であった

 アメリカのシカゴにある国際外科学会付属の栄誉館には外科を通じて世界人類に貢献した医師が讃えられているのですが、ここにその功績を展示されている日本人がいます。世界で初めて全身麻酔下で手術を成功させた華岡青洲(1760〜1835)です。

★江戸時代の“カスパル流外科”

 記録によると、華岡は1804年11月14日に60歳の女性に対し自身が開発した麻酔薬を用いて、乳がんの摘出手術を行ない成功させました。これは1846年にアメリカで行なわれた麻酔手術よりも40年以上も早く、世界初の全身麻酔手術であったとされています。
 日本の西洋医学の祖といわれる蘭方医のドイツ人外科医カスパル・シャムベルゲル(1623〜1706)は、1649年にオランダ商館長とともに長崎出島に到着。彼は2年間ほどしか日本に滞在しなかった上、活動が江戸と長崎に限られていたため、本格的に弟子を育てることはできなかったのですが、それでもこの間、高級官僚に治療を施すことによってその評判が広まり、日本に西洋外科術への関心を大きく呼び起こしたのでした。以後、鎖国下の江戸時代に“カスパル流外科”は200年以上も日本の外科の中心的な考え方として受け継がれていき、西洋医学を志す者が増えていったのでした。
 そうした流れの延長線上に華岡青州もいます。彼は医師の家に生まれ、京都で医学の勉強をしていました。そこでカスパル流外科術を1年間学んでいます。さらにはカスパル流と日本古来の東洋医学の折衷医術なども学んだのち、和歌山に帰郷し開業しました。

★実母の死、妻の失明の犠牲も

 華岡青洲はやがて、なんとか痛みを取り除いた状態で手術ができないものかと、麻酔薬の開発に関心を示します。こうして試行錯誤の結果、曼荼羅花の実、トリカブト、を主成分とした6種類の薬草に麻酔効果があること
を発見。猫などを用いた動物実験を繰り返してやっと全身麻酔薬「通仙散」の完成にたどり着くのですが、人体実験を目前にして行き詰まってしまいます。しかし、実母と妻がその人体実験を申しいで、ようやく「通仙散」
は完成されました。数回にわたる実験の末、母は命を落とし、妻は失明するという犠牲を払うことになりました。
 この偉業は、有吉佐和子のベストセラー小説『華岡青洲の妻』が映画やテレビドラマ、舞台になり、今日、広く一般に知られることになったのです。

※詳細は2018年5月号本誌にて。
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