友好の橋 2016.01

アメリカ合衆国 United States of America

ユダヤ系アメリカ人ジェイコブ・シフと高橋是清の強い絆

明治維新から間もない日本が存亡をかけて大国ロシアに挑んだ日露戦争
戦費調達を任された高橋是清を救ったユダヤ系アメリカ人ジェイコブ・シフ

 1904年、日本はロシアとの戦争に踏み切った。当時生まれたばかりの明治政府にとって、朝鮮半島を呑み込む勢いで南下してきたロシアは、国の存立を脅かすものとして激突は避けられなかった。

★戦費調達を助けたユダヤ系銀行家

 とはいえ、ロシアは大国で、陸軍が10倍、海軍が3倍という兵力の差があり、しかも日本は戦費が十分ではなかった。明治政府は外債によって調達しようと、当時日銀副総裁であった高橋是清をイギリスに派遣した。小国日本に対する人気は低く、高橋はなんとか必要額1億円の半分を調達することに成功したものの、残り半分は難渋した。
 そこに現れたのが、ジェイコブ・シフというユダヤ系アメリカ人の銀行家である。シフは高橋に日本の経済や生産状況、開戦後の状況について質問し、高橋はそれに一つひとつ丁寧に答えた。すると翌日、シフが人を介して、残りの500万ポンドを自分が引き受けると申し出てきたのだ。イギリスの銀行家たちがまとまってようやく引き受けられるほどの金額を、初対面であったにも関わらず一人で引き受けるという突然の申し出に、高橋も驚いた。
 後日知ったことだが、シフは米国ニューヨークの金融市場の頂点を極めた男であると同時に、あのロスチャイルド家と親戚筋にある名家の出で、全米ユダヤ人協会の会長も務めるほどの大物だったのだ。日本はその後もシフの援助により3度にわたって公債を募集。なんとか日露戦争に必要な戦費を調達し、日本を勝利に導くことができたのである。シフは外国人民間人として初めて明治天皇に謁見し、勲一等旭日大綬章を贈られた。

★ロシアの反ユダヤ主義への憤り

 シフはなぜ小国だった日本にそれほど肩入れしたのか。もちろん銀行家であるからにはビジネスチャンスという一面もあっただろうが、それだけではなかった。高橋との親交を深めていくなかで明らかになったのは、ロシアでの反ユダヤ主義に対する憤りであった。大勢のユダヤ人が虐殺されていたのだ。彼の回想録には、「ロシア帝国に対して立ち上がった日本は神の杖である」と記述されている。
 したがって戦後のシフのとったロシア打倒工作も徹底しており、第一次世界大戦の前後を通して世界中に融資したにもかかわわらず、帝政ロシアへの資金提供はすべて妨害した。さらには1917年のロシア革命まで支援し、帝政ロシア崩壊を後押ししたと言われている。
高橋との親交は生涯続いた。

※詳細は2016年1月号本誌にて。
readlink

関連記事

カテゴリー

ページ上部へ戻る