座標軸 2019.10

向野幾世 奈良大学元講師

二上山の思い出

向野幾世 奈良大学元講師

山ふかく遊ぶ子に会ひ通草熟れ
          丸山帚木

 元号が令和に替わり、もう半年も過ぎた。令和が『万葉集』から索いたことばであり、この国の二千年の歴史と、そこに豊かな文化が花ひらいていたことを思うと誇らしい。
 先日、富山県高岡市に招かれて行った。その日、「高岡市万葉歴史館」に案内された。何とその地下室には万葉集の古書をはじめ2万冊余の蔵書があり、感動してしまった。
 訪れた日は、天平18年6月21日、大伴家持が越の国の国司として着任したのと同じ日であり、その奇縁が実にうれしかった。家持こそは万葉集編纂の第一人者ではないか。越の国での歌をもっと知りたいと願ったが、如何せん時間がなかった。せめて万葉の香りだけでもと、高岡城跡の二上山でひとときを過ごした。
 越の国ならぬ大和にも同じ名前の二上山がある。二上山というだけに雄岳と雌岳の二つの頂きがあり、古からのその美しい山容とそこに陽が沈む様を崇める信仰がある。

※続きは2019年10月号本誌にて。
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