座標軸 2018.08

向野幾世 奈良大学元講師

愛によってのみ憎しみをこえる

 「ぎょくおんほうそう」という言葉が村を駆けめぐったあの夏。昭和20年8月15日正午。疎開していた祖父母の家の前庭に50人ほどの村人が集まっていたろうか。
 小学4年生の私もその中の一人だった。ノイズが多く難しい言葉がつづくラジオを全員が一心に見つめていた。それが「玉音放送」、天皇陛下のお声で、日本が戦争に負けたこと、そして戦争は終わったことを告げるものであったと後に知った。

 城茂る終戦の日もかくありき  佐野まもる

 最近、テレビで『火垂るの墓』を見た孫が「おばあちゃん、戦争のこと教えて」と言う。知らないわけではない。“何を” “どこから” “どう話せばいいのか”。もっと知りたいのは私であった。そんな折、『敗戦後日本を慈悲と勇気で支えた人―スリランカのジャヤワルダナ大統領』という本に出合った。
 敗戦は大きな悲しみと被害、混乱に人々を落とし込んだ。幼い私にも貧乏とひもじさはつきまとっていた。しかし、根っこのところ
で人々は復興への希望と新しい国づくりへの夢を持っていたことにも気づく。

※続きは2018年8月号本誌にて。
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