座標軸 2018.03

向野幾世 奈良大学元講師

親が子にのこすもの

 美しき春日こぼるる手をかざし  中村汀女

 3月1日高校の卒業式。高校の教師として職を了えた夫が亡くなったのは3月1日。生徒の卒業式を祝って自らも旅立ったのか。突然の別れだった。15年前のことである。
 連れ添って50年。今にして思うのは、もう少し料理上手な妻でありたかったということ。若い日、故郷の母はことあるごとに料理を教えようとしたが、学ぼうとしない自分がいた。それ故、結婚して母になってからの苦労は半端ではなかった。
 今年5歳になる孫娘は何かにつけて「お料理のお手伝いがしたいなあ」という。オーストリアの教育者ルドルフ・シュタイナーは“子供が料理に関心を持ち始めるのは4〜5歳で、それを過ぎると意欲は下がる”と記している。
 何しろ料理下手な私にとって毎日の食事の支度は一苦労なのだ。つい「あとでね」「今度ね」「またね」とやり過ごすことになる。

※続きは2018年3月号本誌にて。
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