座標軸 2017.12

向野幾世 奈良大学元講師

一年のおわりに

 身辺や年暮れんとす些事大事  松本たかし

 「かつてない大変動」と言われるこの一年も暮れようとしている。アメリカ・トランプ大統領就任やイギリスのEU離脱に端を発し、フランス・ドイツ等ヨーロッパは揺れた。わが国も南北朝鮮半島との関わりで混迷の一年になった。些事大事国内もいろいろあった。
 そんな中、わが家の一年はまずは平穏な日々、おかげさまと感謝している。多分幼い孫たちの成長が未来を運んでくるからだろうか。3歳5歳の視線は低く、大地に近い。土の匂い、小さな草や虫、生き物とのふれあいが、生かされている存在を教えてくれるからか。人間の根っこを感じさせてくれているからか。
 家の中の移動姿勢も低い。床あそびや片付けも。時に四つん這いになる。3歳の孫はすかさず「お馬パッカパッカ」と背中に乗って来て、たてがみならぬ髪の毛にしがみつく。私の頭は日頃ウイッグという代物なので「とらないで、とらないで」と叫ぶ。そこで、孫はウイッグのことを「とらないで」と覚えてしまった。何と幸せな混乱であることか。
 

※続きは2017年12月号本誌にて。
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