座標軸 2017.11

向野幾世 奈良大学元講師

浜までは海女も蓑着る時雨かな

 夜は読まむ書ありて励む文化の日  塩谷はつ枝

 先日、ご近所の90歳になる方のお通夜に参列した。若い時にご主人を亡くされ、娘さん一家と暮らし、四世代同居をされていた。亡くなる一カ月前にも畑仕事をなさっていて、お元気だとばかり思っていた。
 お通夜には大勢の親族の方が集まり、殊にお孫さん、ひ孫さんの姿が多く、にぎやかなお別れ会だった。幸せな一生だったのだなあと思った。このところ、いくたりかのお別れの場に出席したが、親族という立場の人がとても少ないことが多くなった。家族の歴史が途切れようとしているのかと、心配と危機感を覚える。
 そんな折、『未来の年表』(河合雅司著)を読んだ。副題─人口減少日本でこれから起きること─となっている。
 少子高齢社会にあることは知っていたが、それで日本の未来がどう変わっていくかは、ほんとうには分かっていなかった。数十年後には東京を含めたすべての地で人口が減り、早晩日本が消えてなくなる、つまり日本という国家が成り立たなくなるというではないか。まさに「静かなる有事」であり、その「国難」の中にあるというのだ。

※続きは2017年11月号本誌にて。
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