座標軸 2015.11

向野幾世 元奈良大学講師

ベトナムの風に吹かれて

 ベトナムの旅から帰って来た。
 ホーチミンの二つの大学と一つの高校に奨学金を手渡すのが目的で、帰国した日、時雨 が降った。大和盆地の時雨は黄葉を色づかせ、また紅葉ちらしの雨になって冬を呼ぶのである。

 もみぢばながる 神なびの
 みむろの山に 時雨ふるらし
       (読み人知らず)

 ベトナムでも雨の日はあった。スコールだった。秋から冬にかけての降ったりやんだりの時雨と一瞬の雨は同じだが、ベトナムのそれは豪雨だったし、雨のあとは炎天になり、木々は生気を取りもどし、ドラゴンフルーツの赤色は見事に輝いていた。
 この自然現象の違いは人の心にも影響していることは容易にうなづける。この国ではお正月だろうとクリスマスだろうと、炎天下の気温30度というから、日本の四季に生きる者には分かりにくい感覚ではある。
 ところが、常夏に近いベトナムだからこそと気づいたことがある。というのは10月に封切られた映画「ベトナムの風に吹かれて」にかかわっている。ひょんなことから、この映画の試写会と交流会に招かれた。

※続きは2015年11月号本誌にて。
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